ニューヨークに住むファッションフォトグラファーのマーク・レイ。元モデルのイケメン男は家を持たないホームレス生活者、そんな彼に3年間にわたり密着したドキュメンタリー。
ニューヨーク・ドキュメンタリー映画祭2014にてメトロポリス・コンペティション審査員賞受賞、キッツビュール・フィルムフェスティバル2014にてベスト・ドキュメンタリー受賞ほか。
「ピエール・カルダン」「ニューヨーク・シティ・バレエ」「Facebook」などの企業プロモーション映像やスチール画像などを手がける、トーマス・ビルテンゾーン監督の初長編ドキュメンタリー作品。
音楽はクリント・イーストウッドの息子で、パリ在住のジャズミュージシャンのカイル・イーストウッドが担当。
(あらすじ)
アメリカのニューヨークに住む、マーク・レイは元ファッションモデル。
かつて、マークはファッションブランドの「ヴェルサーチ」や「ミッソーニ」のランナウェイを歩いたほどの一流モデル。フランス版「ヴォーグ誌」にも掲載されたほどの活躍ぶりでした。
しかし、現在の彼の仕事は、「model’s.com」や「デイズド&コンフィーズド」など、若くて美しいモデルたちのストリートスナップの撮影や、ファッション・ショーの取材をするフォトグラファー。
とはいえ流石に元モデルだけあって、マークもブランドスーツを着こなし、スマートな身のこなしは現役モデルに劣らず、ファッションも板についています。
もちろん、現役モデル時代より歳を重ね彼も52歳。全盛期のような体型を維持するためにスポーツジムに通ようことも欠かせません。そのジムの更衣室のロッカーを個人的4つも使用で荷物を詰め込みます。
ある日、豪勢なパーティーに出席した後に、マークが帰ったのは雑居ビル街のアパートの屋上でした。
彼は特定の家を賃貸して住んではおらず、無断で友人が住んでいるアパートの屋上で宿泊している日常生活。実はマークは、俗にいう”ホームレス”だったのです。
しかし、自身をホームレスとは呼びません。だから、似たような境遇にある路上生活者に施しをすることも決してないのです。
マークは自身を、“アーバン・キャンパー”と呼び、賃貸した家はないが、人生をギブ・アップをしている訳ではありません。
深夜遅くまでカフェを事務所代わりにフォトグラファーの編集作業を続けたり、俳優活動のエージェントの電話には、エキストラから台詞のある端役まで、常にベストを尽くしてます…。
(感想)
屋上でインタビューを受けている中、背後にはニューヨーク・マンハッタンの街並みが広がっており、主人公の孤独感、主人公の自由な生活など裏腹な状況が伝わっています。マンハッタンでは都市が常に表情を変えていきますが、主人公の「過去を含め、常に不満や不安があり、でも夢を諦めきれない」現状がマンハッタンと見事にマッチしています。お勧めします!
※ちなみに、マーク・レイは映画公開が仇に(?)なり、屋上から追い出されたようです。しかし、夢を諦めてはいないようで、友人の居宅に居候しているようです。